Caravan
2020.09.25
event

Caravan、日比谷野外大音楽堂でのアルバム「Wander Around」再現 無観客ライブ、ライブレポート。

Caravan9月24日(木)20:00、Caravanのライブ『Caravan Phantom Summer 2020 ~Wander Again~』が配信された。
これは、8月23日(日)に日比谷野外大音楽堂にて、無観客で、2006年リリースのメジャー・デビュー・アルバム『Wander Around』を現在のバンド・メンバーと共に再現し、それを収録する、というもの。
本ライブレポートはネタバレを含む内容となっているので、これから配信ライブを楽しむ方は、ご留意いただきたい。

そのデビュー・アルバムのリリース・ツアーのファイナルとして、初めてここでライブを行って以来(2006年6月4日)、日比谷野音は、Caravanにとってもファンにとっても特別な、聖地と言ってもいい場所になっている。

その日比谷野音でのCaravanのライブ映像をつなぎ合わせた、豪華な待機映像が20分ほど続いた後、画面が切り替わる。
「2020年 コロナ夏」という文字に続いて、蝉の声と緑に包まれながら、お客の動線で日比谷野音に入って行くCaravanの後ろ姿が映し出される。
SEの「Blessing」が響く中、客席のまんなかでメンバー=ドラム椎野恭一・キーボード堀江博久・ベースCurly Giraffe高桑圭、ペダルスチール&ギター宮下広輔と落ち合い、ステージへ。
5人で円状に向かい合い、アコースティック・ギターをスライドのように膝上に置いた宮下広輔がイントロでリードをとる「Free Byrd」でスタートする。
Caravan、歌い終えてひとこと、「気持ちいいね」。
Caravanはアコースティック・ギターからセミアコにチェンジ、堀江博久は鍵盤を離れてマンドリンを抱えて「Wagon」、堀江博久が鍵盤ハーモニカでイントロを吹き、それまで控えめだった照明が一気に華やかになった「Trippin’Life」、Caravanとメンバーの掛け合いのようなサビが印象的な「Simple」──と、『Wander Around』の曲順どおりに演奏されていく。
YUKIがカバーして世に知れわたった「Wagon」を筆頭に、いずれも現在も頻繁にライブで披露される曲ばかりで、このファースト・アルバムが、いかに名曲揃いであったかが、改めてわかる。

Caravanがボトルネック・ギターを聴かせるインスト曲「St.Marks Church」を折り返し地点に、セットリストはアルバムの後半へ。
高桑圭のウッドベース、椎野恭一のリム・ショット、Caravanのハープがブルージーに、かつジャジーに絡み合う「Bohemian Blues」あたりで、じわじわと野音が夜の闇に包まれ始める。
今年も野音のステージに立てたことがうれしい、でも本当はこの野音でライブ再開という段取りで、Go Toキャペーンを逆手にとってみんな全国から来てくれればうれしかったんだけど、なかなかそうはいかず、こういう形になりました。幻の夏をみなさんと過ごせたら、と思います──というMCを経ての「Changes」は、そんな言葉の後だっただけに、「変わり続けるのさ 変わらない為に」で始まるリリックが、とても切実に響いた。
続く「Day Dream」では、いつの間にか、映像がすっかり夜の屋外のそれになっている。
そして「Music Save My Life」では、もうこの曲でこのライブ終わっていいんじゃないか、と言いたくなるほどの高揚感が、画面から放たれた。

Caravan久しぶりだから自分が雨男だってことを忘れていた、今日もしっかり雨が降った、神様はちゃんと覚えていらっしゃった、でも本番はこんな最高な天気になって──そんなMCからの「台風」では、夜の闇を活かしたライティングが、ステージや無人の客席を染める。
この曲を境に、曲順が、『Wander Around』からいったん離れた。
まず、『Wander Around』の一作前の『Trip in the music』(2004年)の収録曲で、今もライブの鉄板曲であり続ける「Folks」。
イントロの高桑圭のウッドベースに合わせて、大きくハンドクラップしてみせたCaravanは、曲後半のメンバー全員で「♪ラララ」と歌うブロックで「ご一緒に!」と叫んだ。
次は「Magic Night」。
今年の3月30日、つまりコロナ禍になって最初に配信リリースされた、今だからこそ、音楽の魔法を信じる気持ちを、歌にした曲である。
そしてラストは、『Wander Around』に戻って「Love & Free World」。
汗だくでマイクに声を乗せるCaravanの表情を、カメラがアップで捕える。
メンバーそれぞれの表情も寄りで捕える。
高まっている人、淡々としている人、さまざまだが、出している音のエネルギーは、すごいことになっている。
全力で歌い終え、メンバーを紹介し、ひとりずつと拳を突き合わせてから、Caravanはステージを下りた。
楽屋で5人で乾杯するシーンまで、カメラは追って行った。

あれ? 「台風」と「Love & Free World」の間の「Rock & Roll」、やってないよね? と思っていたら、終演後の野音のステージに寝転がるCaravanの姿に、映像が切り替わる。
続いて、湘南の海辺と、それを撮るCaravanの画に。
そして次の画は、開演前の野音の客席のまんなか、昔サブステージを作った場所で歌うCaravan。
その曲が「Rock & Roll」だった。
「まだ世界が続いてくなら 君といたいなんて思うよ ラララララ これはラブソング」「どんな自分も手を広げ 抱き締めるよ 受け入れるよ」と、ピックアップもケーブルも付いていないアコースティック・ギターを弾きながら、マイクなしで歌うCaravanは、とても無防備で、でもとても強い、そんなふうに映った。
曲が終わり、最後に画面に出た本人手書きのメッセージは、「また会える日を夢見て…」だった。

(テキスト:兵庫慎司)


Caravan【アーカイブ配信情報】

Caravan Phantom Summer 2020 ~Wander Again~
日比谷野外大音楽堂

ZAIKOにて配信中!
アーカイブ視聴は2020/09/29(tue)迄可能
ticket now on sale!!!
当日 / 配信チケット 3.000yen
※各チケットには販売予定枚数がありますのでお早めにご購入下さい
info. https://caravan.zaiko.io/_item/329924

member : Caravan(vo&gt)
宮下広輔(pedal steel guitar), 高桑 圭/Curly Giraffe(ba), 椎野恭一(dr), 堀江博久(key)


◆Caravan Phantom Summer 2020 ~Wander Again~ Teaser 予告
https://youtu.be/PUTcXEE3ajQ


【Caravan プロフィール】

1974年10月9日生まれ。幼少時代を南米ベネズエラの首都カラカスで育ち、その後、転々と放浪生活。高校時代にバンドを結成、ギタリストとして活動。
2001年よりソロに転身。全国を旅しながらライブを重ね、活動の幅を広げてゆく。
2004年4月インディーズデビュー。二枚のアルバムを発表。
2005年メジャーへ移籍。
2007年マネージメントオフィスHARVEST設立。
2011年までの間、年に一枚のペースでアルバムを発表してきた。一台のバスで北海道から種子島までを回る全国ツアーや、数々の野外フェスに参加するなど、独自のスタンスで場所や形態に囚われない自由でインディペンデントな活動が話題を呼ぶ。
2011年には自身のアトリエ”Studio Byrd”を完成させ、2012年プライベートレーベル”Slow Flow Music”を立ち上げた。Caravan も含めたった3人でマネージメントとレーベルを運営しインディーズ流通すら使わず、メディアにもほとんど露出しないその独自なスタンスも注目を集めている。独自の目線で日常を描く、リアルな言葉。 聞く者を旅へと誘う、美しく切ないメロディー。様々なボーダーを越え、一体感溢れるピースフルな Live。世代や性別、ジャンルを越えて幅広い層からの支持を集めている。
これまでにDonavon Frankenreiter、Calexico、Tommy Guerrero、Ray Barbee、Beautiful Girls、SLIP、Sim Redmond Band等、多くの来日アーティストのサポートアクトや共演を果たし、YUKI「ハミングバード」「Wagon」、SMAP「モアイ」、渡辺美里「Glory」「Hello Again」を始め、楽曲提供も手掛けている。

◆official web site ⇒ http://www.caravan-music.com
◆official facebook ⇒ https://www.facebook.com/Harve……wFlowMusic
◆official YouTube ⇒ https://www.youtube.com/user/C……nelHARVEST
◆Tunecore Artist Page ⇒ https://www.tunecore.co.jp/art……st#r544198