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2019.01.16 UP
NEIGHBORS COMPLAIN スペシャルインタビュー 前編

大阪ストリート発、アーバンヴィンテージR&Bバンドが語る音楽ルーツとめざす道。
4人を大きく変えた3つのターニングポイントとは!?

NEIGHBORS COMPLAIN――2014年に結成されたそうですが、まずは4人の出会いから教えてください。
Kash:今から8年くらい前ですね。最初は僕が21歳のときにTakaと出会って、当時は別のギタリストとの3人組インストグループでストリートライブをやっていたんです。そのバンドが解散したときに、もともとはインストバンドだったし、別に歌がなくてもいいやということで、別のバンドで対バンしたことがあったOtoを誘ったんです。
Oto:そのとき僕はまだ鍵盤弾きだったんです。その頃はニューヨークに行きたくて、資金稼ぎのためにストリートライブをやりつつ、BGM演奏やバンドのサポートをしていました。そんな中で僕はGottiとも出会っていたんです。
Gotti:僕は僕で、別の場面でKashと面識があって。要は4人とも、いろんなバンドのサポートメンバーとかスタジオミュージシャン的な動きをしていたんですね。

――そんな4人でバンドを組むことになったキッカケは?
Gotti:2012年に、梅田の歩道橋の上でミュージシャンを20名くらい集めてストリートジャムセッションをやるという企画があったんです。初めて会ったミュージシャン同士で、共通で知ってる曲をやる、みたいな。そこに、たまたまこの4人が顔を揃えていて、そこからバンド結成に向けて進んでいきました。

――当時、ストリートライブは、大阪のどの辺りでやっていたんですか?
Kash:難波と心斎橋と梅田ですね。いちばんやってたのは大阪駅からマルビルに向かう道の途中にある大きな信号を渡ったところ。ファーストミニアルバムに入ってる「Decision」という曲のMVはそこで撮ってるんです。

――Otoさんは当初キーボードプレイヤーとして活動していたそうですが、歌はいつから始めたんですか?
Oto:21歳でニューヨークに行ったときに、現地でボーカルレッスンを受けて、そこから本格的に歌うようになりました。もともと僕は小中高と野球少年で、音楽は一切やってなかったんです。

――ピアノも?
Oto:そうです。両親が共にクラシック畑で、母はバイオリニストで父がチェロ奏者なんですけど、その背中を見て「絶対ミュージシャンにはなりたくない」と思ってたくらい(笑)。でも、心の何処かでは歌を歌いたいなっていうのがあったんだと思います。高校卒業の進路を決めるときに、母親に「俺は歌手になる!」っていきなり言ったんです。

――「海賊王に、おれはなる!」に近い感じですね(笑)。
Oto:本当にそんな感じ(笑)。真剣に相談したら、母が「それは無理だ。なれるわけがない」と。「ただ、歌をやりたいんだったら、まずピアノ。ジャズピアノから勉強した方がいい」って説得されて。そこからレンタルショップのジャズコーナーに行ってCDを手に取って聴くようになりました。音符も読めないし、コードもわからないまま、なんとか試験曲の1曲だけ弾けるように練習して音楽短期大学のジャズ科に行ったんです。

――Otoさんの音楽ルーツにはジャズがあるんですね。
Oto:授業ではチャーリー・パーカーやオスカー・ピーターソンなどを聴いていました。そのうちにハービー・ハンコックに出会って衝撃を受けて。大学を卒業したらハービー・ハンコックみたいなピアニストになるんだ!と思うようになったんです。

――今度は「ハービー・ハンコックに、俺ははなる!」と(笑)。
Oto:そうです。怖いもの知らずの自信で、ニューヨークに行ったらハービー・ハンコックになれると思って。で、ニューヨーク行きにたどり着いたんですが、その時クインシー・ジョーンズの『Q’s Joint』というアルバムに出会うんです。そのアルバムで初めてマイケルジャクソンの「Rock With You」を知って、「なんだ!?、この格好良い曲は」と衝撃を受けて。アルバムではブランディーが歌ってたんですけど、そこからマイケル・ジャクソンを知って、スティーヴィー・ワンダーとかMazeとか、R&Bをどんどん聴くようになっていったんです。

――Kashさんが音楽にめざめたキッカケは?
Kash:父がロック好きで、母がソウル好きで、小さい頃から音楽はよくかかっていたんです。そんな中、父がレッド・ツェッペリンのライブ盤をかけたときに、本当に衝撃が走って。中学二年生のときにアコースティックギターを買ってもらって練習を始めたんですけど、コードが全然わからない。じゃあ、ベースだったら単音で出来そうかなと思ってベースを始めたんです。

――それ以降、どんな音楽を聴くようになったんですか?
Kash:ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズというベーシストがソウル音楽ファンだということを知って、彼が好きだったベーシストや、スティーヴィー・ワンダーとかのモータウン音楽を聴き始めました。そこから黒人音楽に興味を持つようになったんです。あとはジャコ・パストリアスの『Jaco Pastorius』を聴いて、フレーズを研究したりとか。

――Gottiさんの音楽原体験は?
Gotti:中学二年生のときにエレキギターを始めて、最初はハードロックにハマりました。特にエクストリームというバンドで、どうしてこんなに好きなんだろうって分析してたら、16ビートがしっかりあるバンド、要はファンキーなハードロックのバンドサウンドだったんです。そこからファンキーな音楽に興味を持つようになってマーカス・ミラーを聴いたり、一方でスムースジャズやフュージョンとかも聴き出して。その後、レンタルショップでバイトを始めたら、もっといろんなジャンルの音楽を聴くようになり、そこからR&Bに興味を持ったんです。特に90年代のネオソウル。ディアンジェロが好きで。彼のルーツを探っていくうちにカーティス・メイフィールドやマーヴィン・ゲイといった70年代のソウル音楽を聴くようになりました。

――Takaさんの音楽ルーツは?
Taka:小さい頃は兄と一緒にクラシックピアノを習ってたんです。次にギターを習い始めたんですけど、Fコードが弾けないという定番の理由で辞めちゃって。じゃあ、ドラムの方が派手でいいなと思って、中1からドラムを習い始めたんです。ブラックミュージックとの出会いは、高校生のときにクラスメイトが貸してくれたMDの中に入っていたアリシア・キーズの「If I Ain’t Got You」。それを聞いたときに「このビート、メチャクチャシンプルやのにメチャクチャ格好良いな」と思って、そこから好きになっていったんです。

――バンド結成は、どんな音楽をめざしていたんですか?
Gotti:最初はカバーばかりやってました。スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、ブルーノ・マーズ……ストリートでお客さんを引きつけること考えたときに、ルーツミュージックをやるよりも、比較的新しい曲で、はっきりとしたメロディーやコード進行がある曲っていう風に考えたんです。
Taka:あと、英語詞にもこだわってましたね。カバー曲もレパートリーは結構ありましたけど、やはり邦楽はほぼゼロでしたから。

――当初は洋楽志向/海外志向が強かったんですか?
Oto:そうですね。当時は、絶対日本語の歌詞は書かない!って思ってました(笑)。特にR&Bのようにシンコペーションするリズムは日本語と絶対に合わないと思い込んでいたんです。絶対英語の方がスムーズだし、フロウが流れるし、ダンサブルで格好良いと思い込んでいて。

――ファーストミニアルバム「Decision」発売後の2016年に、シングル曲「Makes You Move」と、そのカップリングの「Gonna Be Alright」のレコーディングをロサンゼルスで行っています。それも海外志向の表れですか?
Oto:「Decision」を作ったときに、「海外の方がいいんじゃないか?」っていう根拠のない思いがあったんです。英語詞だし、「俺たちは日本じゃないな」「逆輸入パターンの成り上がりをめざそう!」って。そっちを目指した方が良いって思ってたんですよね。それでストリートライブを頑張ってお金を貯めて、ロサンゼルスに行ったんです。

――結成から現在までの間に、バンドが成長・進化できたと思うターニングポイントを3つ挙げてください。
Oto:ひとつは今話したロサンゼルスでのレコーディング。もうひとつはプロデューサーのKO-HEYさんとの出会い。もうひとつは2018年の「Java Jazz Festival」に出たことですね。

――KO-HEYさんとはいつ出会ったんですか?
Gotti:ロサンゼルスに行く前年の冬です。11月くらいだったかな。

――彼と出会って何を得ましたか?
Gotti:僕は「人間性」みたいなところがいちばん響いてます。音楽やブラックミュージックのことよりもミュージシャンとしてどう立ち居振る舞うか、どういうマインドで音楽と向き合っていくかっていうところですね。
Kash:「ステージから飛ばす」って言われたことがあって。そんな言葉を聞いたことがなかったんですけど、ライブのときは客席の一番後ろまで気持ちを飛ばせと。そういう意識に変わっていくキッカケをもらいましたね。
Oto:最初に出会った時「どうして英語なの?何を伝えたいか日本語じゃないとダイレクトに伝わらない」って言われて。「そうか、ここは日本だし」と思って、そこから日本語で歌詞を書くようになったんです。

――それはバンドにとって大きな転換点ですね。
Oto: 先輩方はみんなR&Bのグルーヴに日本語を乗せることで闘って来たと。みんなその難しさを知っている。英語でやってるのは逆に普通のこと。英語でやりたい気持ちはすごくわかる。ただ、そこから一段上に行こうと思ったら、まず日本語で書いてみて、その難しさを打破するべき。またその悩みとか苦しみこそが面白いんだと言われて。日本語で書く醍醐味を教えてもらったんですよね。

――「Java Jazz Festival」では、ジェネイ・アイコやインコグニート、コモドアーズ、リー・リトナー等々、錚々たるアーティスト/ミュージシャンと同じステージに立ちました。どんなことを感じましたか?
Kash:海外でライブ……ましてやインドネシアのジャカルタということで、言葉が通じるかわからないし、そもそも聴いてくれる人がいるのかもわからないという状況でステージに立ったんですけど、ライブを進めるうちにどんどんお客さんが集まって来てくれるのがわかって。言葉の壁は越えられるんだなっていう自信をもらいましたね。
Gotti:一方で、世界的なアーティストの演奏を間近で見て、ものすごく劣等感を覚えたのも事実です。自分の実力の無さにうちのめされて、メッチャ悔しくて。

――でも、その悔しさがバネになりますからね。
Gotti:そうですね。自分の中でかなり大きなターニングポイントになりました。
Taka:現地のインドネシアのバンドも同世代くらいの人たちなんですけど、メチャメチャイケてたんですよ。さすがにそれは痺れました。
Oto:僕は「伝える」っていう気持ちが大事だなっていうことに改めて気付かされました。当日は不安だらけだったけど「とにかく日本語で聞いてくれ!」っていう思いでやって。まさに「飛ばす」感覚でやったときに反応があって、「言ってたことはこういうことか!」と。自分から発する気持ちがいちばん大事なんだなって実感しました。

――結成から現在までの歩みの中でずっと変わっていないもの、これからも変えたくないものは何ですか?
Gotti:R&Bが大好きな4人が集まって、きっちりとR&Bのサウンド作りをしていきたいと考えています。曲を作っていると、たまにそこが薄れそうになるときがあるんです。「この曲は、R&Bと呼べるものなのか?」っていう。そういうものは世に出したくないと思っていて。R&Bのマナーというか、ソウルマナーというか。楽器の音色だったり、フレーズだったり、歌い廻し、曲調、グルーヴ……すべてに於いてなんですけど、それはこれまでこだわってきたところですし、これから先も進化させていくべきと思っていいます。
Taka:演奏の精度や内容は変わってきてますけど、めざしてるものは変わってないんです。

――では、Neighbors Complainが鳴らすR&B、4人がつくる音楽を形成しているものは何だと思いますか?
Kash:スタジオに入って4人が4通りのアイデアを出すんです。ときには「こうプレイして欲しいな」と思うことがあっても、それを飛び越えてくる演奏が必ずある。それがNeighbors Complainを作ってるように思います。僕たちがつくる音楽は、音をこねて作りあげていってる感じがあるんですよ。その中で出てくる個々のセンス。その固まりがNeighbors Complainだと思います。
Oto:放っておいたら本当にバラバラな4人なんですけど、ひとつの目標に向かって4人が固まりになる……その瞬間がギュッと詰まったもの。それが自分たちのR&Bだと思うし、今もまだそれを探してる途中でもあると思います。Neighbors ComplainのR&Bとは何か。Neighbors Complainとは何か。それを4人で探りながら、今後、突き詰めていきたいですね。

【文:猪又孝】

インタビューの後編はこちら⇒ https://spaceshowermusic.com/features/96579/


NEIGHBORS COMPLAIN『BRIDGE』2019.01.23 Release
NEIGHBORS COMPLAIN『BRIDGE』
[収録曲]
01. LST/D
02. Aurora
03. Escape
04. In our life steps
05. Between Real and Dream
06. Weekend
07. SAYONARA愛しき人
08. モノクロノユメ
09. Precious Love
PECF-3221 / ¥2.400+税
SPACE SHOWER MUSIC/Liquid Brain Inc.


NEIGHBORS COMPLAIN Profile

NEIGHBORS COMPLAIN

Oto(オト) Vo.Key. / Gotti(ゴッチ) Gt.Cho. / Kash(カッシュ) Ba.Cho. / Taka(タカ) Dr.Cho.

2014年大阪にて結成。エモーショナル&SEXYなOtoのヴォーカル、New Classic Soul、Black Contemporary、NJS、Rare Groove (Philadelphia Soul, Sal Soul等) のバックボーン、そのヴォーカル&サウンド・メイクは、ファレル・ウィリアムス、ブルーノ・マーズ、メイヤー・ホーソーン、TUXEDOなどを彷彿させる新世代セルフ・コンテインド・バンド。2017年7月1st アルバム「NBCP」、2018年7月シングル「In Our Life Steps」をリリース。
2018年3月にはジャカルタの世界的フェス「JAVA JAZZ FES.2018」に日本人アーティスト代表として出演するなど、海外へも活動の場を広げている。

◆NEIGHBORS COMPLAIN HP
http://neighbors-complain.com/



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