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2018.10.19 UP

4月25日にリリースしたuchuu; 2nd Full Albumのリミックス音源「2069 Remixes」が配信にてリリース!
リミックスを担当したのは、今年2月にライブにて共演を果たした80KIDZ、そしてuchuu;が楽曲を提供したPlayStationR4専用ゲーム『LET IT DIE』の音楽プロデューサー山岡晃。
元々親交のあった両者と、出会いやそれぞれの印象、そして今回の音源に至るまでを語る内容になっています!
今週は山岡晃氏との対談を掲載!

uchuu;×山岡晃

『サイレントヒル』や『beatmaniaシリーズ』を始め、数多くの著名ビデオゲーム・ミュージックを輩出してきた音楽家/サウンドデザイナー山岡晃。彼がuchuu;のKと出会ったのは、2016年に発売された世界的な人気ゲーム『LET IT DIE』の際であった。同ゲームのサウンドディレクターとして携わり、ビデオゲームを通じ日本の音楽を世界に発信していきたい所望があった山岡は、数ある参加バンドと共に、以前より興味を持っていたフェイバットのuchuu;にもラブコール。録り下ろし新曲「LET IT DIE」の収録に至った。
それを機に親交を深めた両者。今度は、その時とは逆に、山岡の底知れぬ音楽的知識と独特の世界観と自身がどのようなマッチングや新解釈が現れるのにかも期待し、今春発売のニューアルバム『2069』からの楽曲のリミックスをuchuu;から山岡に依頼。「19692069」のリミックスがこの度、届けられた。
オリジナルのファンキーさと躍動感とは、ある種正反対にも映る同リミックス。従来のuchuu;の音楽性からは伺えなかった斬新さを配しながらも、どこか根底には両者近いニュアンスが擁されているのも興味深い。
そんな自身の楽曲返答も交えられた同曲。その山岡がuchuu;の魅力や今回のリミックスをKと共に紐解く。

uchuu;×山岡晃

――山岡さんはuchuu;のどのような部分に惹かれ、以前「LET IT DIE」への楽曲参加の打診をしたんですか?
山岡: 僕自身はビデオゲーム制作を仕事にしてきて。ゲーム自体も作るし、音楽も作る。そんな中、ゲームを通じ世界とも繋がれるし、発信できる可能性をずっと体感してきたんです。自分でも音楽を作るんですが、その音楽も色々な国で聴かれ、様々なレスポンスを身近にいただいてきて。でも、ことフタを開けると、日本の音楽って「グローバルだ!」「海外戦略だ!!」等、国内では言われているものの、どこか出切れていない感がずっとあったんです。アプローチはしているものの、どこかそこにクイックさの不足や覚悟、煮え切らなさを感じていて。だったら自分が作るビデオゲームに、日本の音楽をくっつけて、ゲームを通して聴かせちゃおう。そんな方法論を思いついたんです。そんな時にuchuu;の存在を知って。この方たちの音楽であれば、国や人種関係なく、きっと世界中の方に喜んでもらえるだろうと。ある種の確信があったというか。もちろん僕自身も好きだったし。それを聴いてもらいたい思いも合わせ楽曲提供を依頼したんです。

――山岡さん的には、uchuu;の音楽性のどの辺りが海外の方にでも受け入れられそうだと?
山岡: ざっくり言うと彼らのオリジナリティですね。いわゆるuchuu;の音楽じゃないと存在しない、感じられない独創性です。それは参加してもらった他のどのバンドにも言い替えられますが。他のバンドでは代用出来ない、このバンドにしかない何かを感じたからです。しかも、「日本のバンドの音楽」として堂々と海外に発信出来るレベルで。タイトルも全アーテイスト「LET IT DIE」で、各バンドなりの独自の「LET IT DIE」を求めていましたが、見事にそれを果たしてくれました。

uchuu;×山岡晃

――対してuchuu;はどのようなアプローチを以て、それに対してのアンサーを?
K: けっこう悩みましたよ。これまでは全く何も決まっていないところから自由に絵を描いて結果完成って流れだったけど、ある程度お題が決まっている中で自分なりの絵を描かなくちゃいけなかったわけですから。ただ、それ以外はキャンパスのサイズも含め、「自由にやって下さい」とのことだったので、逆に、だったら自分たちにしか出来ないことを演ろうと挑みました。

――山岡さん的には全くゲームの印象と違った楽曲が届いて、それがゲームの雰囲気や内容とそぐわなかったり、ややをもしたらプレイしていて違和感を覚える楽曲を提供される懸念や怖さは無かったんですか?
山岡: 全く無かったですね。逆にそれを懸念すること自体が過去の教科書になぞらえているわけで。それだと新しいチャレンジも生まれないし、意外性も生まれない。逆に僕はそういった曲が出てくることによる、マジックや化学反応、いわゆるこれまでのセオリーにとらわれない部分から現れる意外性や斬新さにも期待していて。それがもの作りの面白さでもあるわけで。可能性に賭けた方が新しいものが生まれやすいし、実際、生まれることも多いですからね。

uchuu;×山岡晃

――では、共存や同居よりも、ある種、意外性や驚き、みたいなものの方が期待値としては大きくあったと?
山岡: ありました。奇をてらってはいませんが、それに近しいチャレンジではありました。
K: でも、ことこのお題に関してはかなり難題でした(笑)。タイトル(「LET IT DIE」)からして僕の中では皆無な要素でしたから(笑)。自分たちのテーマとしては逆に続けていくこと、生きていくことがテーマだったり、楽曲の奥底や根底にはあったりしたもので。イキイキと生きる、そのような面が表れている楽曲が僕が作る楽曲には多い。それが、「死ぬか…」でしたから(笑)。でも、僕にとっては発想の転換のキッカケにはなりました。この曲を作らせてもらって気づけたことが自分の中では沢山あって。あとはお互いクリエーター同士、そこにキチンと相手をリスペクトする気持ちがあればいいものが作れるし、生まれ出てくる自信もありましたから。奇をてらわずとも化学反応を起こせる自信はありました。
山岡: このようなお題に対して、きっとK君なりの考えや解釈、咀嚼を交えてキチンと返してくれる信頼感はありました。結果、提供してもらった楽曲も、『LET IT DIE』に沿いながらも、キチンとuchuu;らしさが出ていて、いちuchuu;ファンとして、こんなに楽しい仕事はなかったですからね。

――実際、海外の方からの反応はありましたか?
K: DMとか海外から届きました。しかも海外のエンジニアの方からも。あの楽曲提供を機にSNS等にアップした使用機材等に食いつきがあったり。一般の方はもちろん、クリエーターの方に響いたのも僕的には凄く嬉しかったし自信にもなりました。

uchuu;×山岡晃

――で、今回はその逆で、uchuu;の方から山岡さんにリミックスを依頼したわけですが、その際に何かリクエストは?
山岡: 特にありませんでした。それも先程と全く同じ理由ですね。求めているけど、あえて求めない。僕らの作った音楽を山岡さんなりに解釈してもらいたかったんです。もしあったとすれば、山岡さんの表現したいように表現してもらう。それだけでした。

――山岡さん的には、uchuu;の今回のアルバムを聴き、全体的にどのような印象を受けましたか?
山岡: これまでと違い、凄く「闇」がないなと。ことK君だと思うんですが。あれ?彼って闇が無いはずはないよな…って(笑)。前作までは闇を感じていたんです。その闇って別に悪い意味ではなくて。今回は濁りや黒さが感じられなかったんです。サウンドにも歌にもメロディも、はたまたミックスにも音色の選び方にも。「K君解脱したのかな?」と勘ぐったぐらい(笑)。この解脱感ってある種凄いなって。「この世の全てを僕は悟りました」みたいでしたから(笑)。なのでリミックスの曲は、あえてそこに戻させてもらいました。いわゆる人間の闇の部分へと。僕がそっちの方を得意としているのもありますが、特にM-1の「19692069」は闇を感じなかったので、あえてこの曲を選びました。

――と、山岡さんはおっしゃってますが、K君的な今回のアルバムの全体像は?
K: 柔らかさや光、温かみみたいな部分は意識しました。特に「19692069」にも表れている通り、時間軸の中での自分を表現したところもあったんで。ある意味コンセプトアルバムだったが故に、これまでとは違った手法でやらなければいけないと戒めて挑んでましたから。それもあり、今回はあえて全部アナログでレコーディングしたんです。且つ人力で。なので、最終こそデジタルですが、録音やミックスは全てアナログのコンソールを使い行いました。トータルリコールが出来ないんで、失敗しても同じ音が二度と作れない(全チャンネルをデータとしてバックアップできない為、失敗しても全てをそのまま再現することが出来ないの意)プレッシャーもありましたが、なんとか(笑)。

uchuu;×山岡晃

――そのアナログでのレコーディングが結果、今作の音質や耳障り、暖かみやふくよかさに繋がったんでしょうね?
K: 今回のレコーディングを経て、デジタルで録音することで失われているものが物凄く多かったことに改めて気づいたんです。で、今回、このようなレコーディングをしたことで、例えガチガチなエレクトロの音でも、人の温かさや温度感、人っぽさや人間味が出せることに改めて気づきましたからね。
山岡: 同じ作り手として、今の時代その制作方法は嬉しいですよ。先ほど「トータルリコールが出来ない」と言ってたけど、その尊さや貴重性も含めて素晴らしい。

――リミックスを聴かせていただいて、ある種、原曲とは真逆のアプローチに驚きました。
山岡: その「真逆にしよう」との発想は元からありました。「真逆のアプローチをした時にuchuu;のサウンドってどんな風に見えるのかな?」「聴こえるのかな?」との興味が真っ先に出てきて。作っておいてなんですが、真逆のuchuu;を僕自身がいちリスナーとして聴きたかっただけですから、今回のリミックスは(笑)。

――でもこのアプローチには驚きました。打込みを共存させながらも深淵性を忍ばせていて。
山岡: その辺りは僕の血の部分も多分に出ちゃってます。いわゆる機械に一生懸命追いつこうとしている人間のはかなさとでも言うか…。あの機械と人間の関係性、それをuchuu;の今作では凄く感じての、この方法論だったんです。なので、打ち込みがメインながら、ギターであったり、シンセの音だったり、エレピ等の音は単なるデジタルではない感じを表す意識をしました。uchuu;が今回やっていたアプローチのメタファみたいなものを今回自分なりの解釈として表してみようと。

uchuu;×山岡晃

――そこにそこはかとない至福感を感じさせている面も特徴かなと。
山岡: その辺りは今回uchuu;がやろうとしていたことと同じ方向性や着地点だったんだなと、さっきの話を聞いて実感しました。単なる「リミックスで真逆をやりました」「打ち込みをメインにしてみました」だけじゃなく、音の質感を含めた空間みたいなもの、別のアプローチなんだけど、結果近い部分を表していたのには自分でも驚きですね。

――Kさんの聴後の感想を訊かせて下さい。
K: 現実感と仮想現実感、目を開けているよりも、目を閉じている方の現実を凄く感じました。全く同じなんだけど全く違う、みたいな。
山岡: ある種、マッチさせたり馴染ませたりせずに、あえて裏切ろうとの意識は当初からありました。想像させないし、想像以上のものを飛び出させるというか。それがリミックスの意味だと僕は解釈しているので。

――歌詞やメロディのデフォルメにも興味があります。
山岡: 歌の意味やどんなことを歌ったり、伝えたりしたかったのか?よりも、歌い方やその時のメロディの流れ方が僕的に面白いなと感じたんです。なので、そのポイントを繰り返させたり、前後左右させてみました。いわゆるAメロ、Bメロ、サビの概念に一切とらわれず、このメロディ感、この歌い方感、このリズム感のボイスが面白い。そこから組み立てていったんです。

uchuu;×山岡晃

――今後お互いに望むものがあったら教えて下さい。
K: 僕は山岡さんと一緒にバンドを演りたいですね。前回、今回と各々が相手のものに対してクリエイトしてきたので、“一緒に作ったり生み出していったら、一体どうなるんだろう…?”って。
山岡: いいね。やりたいね。その共に作った創作物を一緒に聴いてみたい。自分が作るものとはまた違ったものが生まれるだろうから、それが楽しみですね。それこそ作りたいよりも、むしろそれを自分で聴きたい(笑)。あっ、あとは「行こう行こう」と言っていてずっと実現してない呑み、これも是非実現したい(笑)。
K: 脱線して機材の話になるのは目に見えてますが(笑)。かなりマニアックな話になりそうだ。

――私的には、冒頭の話題にあった、uchuu;を初めとした日本のバンドたちの海外へのアプローチにも興味があります。今、日本のバンドがいまいち海外に気軽に行き切れない、その大きなネックを知りたくて。
山岡: うーん…何でしょうね…。イメージ的には海外のアーテイストは頻繁に海外へと行き来しているイメージがあるんですが、こと日本は日本だけにとどまっている印象があります。
K: もう少しプライベートも含め、カジュアルに海外に行けるようになれば、また変わるんですかね?僕も来月上海に行くんですが、それも自分が行こうと能動的に思ってのことで。やはり日本に居るだけで発信しても限界があるようで。ちゃんと自分で足を運ぶという大事さはあるでしょうね。
山岡: 僕も頻繁に海外へは行ってます。興味があったら即いってみる。実際に見てみないと分からないものが沢山あるんで。先日もクエートに行ってきたんですが、実は凄く平和だし、みんな音楽が大好きだし、日本のことも大好きだし、リスペクトもしてくれる。だけど、日本に居ると危険地帯みたいなイメージが強く、全然そういった情報や実情が入ってこないじゃないですか。実際、そのような危険な印象は事実無根だったし。そのような実際の行動力が大切だし、今後も大事にしていきたいところではあります。

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【池田スカオ和宏】


山岡晃AKIRA YAMAOKA (アキラ ヤマオカ) Profile
サウンドデザイナー、音楽家。
自身の音楽創出から劇伴、ビデオゲームに至るあらゆる音楽、サウンドデザインを行う。
また国外のクリエイターとの交流も多く、近年ではフライングロータス自身の映画監督作品「KUSO」に、エイフェックスツイン、サンダーキャットと共に楽曲提供を行う。
またナイルロジャース、CHICへギターリストとして参加するなど、演奏者としても活躍している。
代表作に『サイレントヒル』シリーズ、『シャドウズオブザダムド』、『LET IT DIE』など。
◆Official Twitter ⇒ https://twitter.com/AkiraYamaoka
◆Official Instagram ⇒ https://www.instagram.com/akira_yamaoka/


LET IT DIEABOUT『LET IT DIE』
自身がサウンドディレクターを務め、全世界累計400万ダウンロードを突破したPlayStation(R)4専用サバイバルアクションゲーム『LET IT DIE』では、日本国内の100以上のミュージシャンとゲームの垣根を越えたコラボレーションを実施し、話題を呼んでいる。
PlayStation Storeにて、通常版が108円(※価格分のデスメタル付き)で好評配信中。
※「PlayStation」は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。
◆『LET IT DIE』公式サイト ⇒ https://letitdie.jp/


uchuu; / ウチュウ uchuu; (ウチュウ) Profile
Crossover Music Creators
幅広いダイナミクスと高揚感を、様々な機材とテクノロジーを駆使し、情景が描かれるようなバンドサウンドと詩世界で、独自の音楽を表現。
2017年新体制となり、洗練されたその音楽性は、テーマとして掲げる”Crossover Music Creators”の通り、様々な音楽をクロスオーヴァーし、新たなサウンドを創造する。
また、RECORDING~MIX、アートワークまでディレクションするなど、マルチな側面も併せ持つ。
そのuchuu,の表現は、音楽以外の芸術表現との親和性も深く、世界初の「DMM VR THEATER」での公演や、MV等でも観測でき、新たな表現を追求し続ける。
◆ Official WEB ⇒ www.uchuu-sound.com

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