バックナンバー

2018.02.21 UP

●シンセサイザーを中心としたアルバムを作ろうというアイデアはどこから?
R :  昔からアナログ・シンセに興味があったんだ。5年前にシンセサイザーについての本を入手して最後まで読んでいなかったんだけど、いつかもっと勉強したいと思っていた。数年後にKorg MS20 Miniという新品のシンセサイザーを買って、遊びで曲を作って、トーマス・キャンベルに送ったんだ。その数週間後にIndependent Trucksから連絡があって、僕のシグネイチャー・トラックを作ろうというオファーをもらった。トーマスがコレクションと一緒にリリースしたら面白いんじゃないかと提案してくれて、アートワークも彼が担当してくれることになった。その時に「ギターの曲じゃなくて、シンセの曲でやろうかな」って言ったら「いいね」と言ってくれた。更にジョン・ハーンドン(トータス)に参加してもらえることになって、そこからトーマスが「EPを作って、彼の新しいレーベルUm Yeah Artsからリリースしよう」とアイデアを出してくれたんだ。まずEP用に5曲作って、サンフランシスコのモンティ・ヴァリエのスタジオに入ってレコーディングした。僕は自分のパーツを基本的に家でレコーディングしたんだけど、それを土台にジョン・ハーンドンのドラムはサンフランシスコでレコーディングした。ジョンが参加することで、僕の構想をはるかに超えるサウンドになったんだ。そこで、もっと大規模な作品を作れると思って、アルバムを作ることにしたんだ。

●Korg MS20 Miniはヴィンテージ・シンセではないんですよね?
R :  ヴィンテージ・シンセのリメイクなんだ。新品だからそんなに高くないんだけど、サウンドはオリジナルとほぼ同じなんだ。古い70年代後半、80年代前半らしいサウンドなんだ。

●最初にトーマスに送ったのはどの曲ですか?
R :  日本用のボーナス・トラックとして提供した「Push Process」なんだ。オリジナルのままこのアルバムに入れたわけじゃなくて少し変更した。でもこの曲から全てが始まったんだ。

●何故、このシンセに興味を持ったのでしょうか?
R :  今発表されている新しいシンセの中で、Korg MS20 Miniにしか興味が持てなかった。僕は手で実際にシンセに触れて音を変えるのが好きなんだ。色々なアナログ・シンセが出ているけど、最近はアナログとデジタルのハイブリッドが多いんだ。Korg MS20 Miniは歴史のあるシンセでパッチベイがある、セミモジュラー・シンセなんだ。パッチベイを使うことで、自分独自の音作りが出来るんだ。これを使って、シンセの仕組みを勉強出来るとも思ったんだ。

●このアルバムでは、Korg MS20 Miniだけを使ったんですか?
R :  基本的にそうだね。「What’s His Neck」でモンティのスタジオに置いてあるMoog Voyagerを使ったよ。同じ曲で、Juno 60で演奏したパッドも入ってる。このアルバムには、僕が作った曲をジョンがリミックスというか、ズタズタにして、新しく作り直した曲が3つ収録されてるんだ。

●シンセの曲を作っている時と同時にギターでも作品は作ってたんですか?それともギターで曲を作ることに飽きてシンセで作るようになったのでしょうか?
R :  いや、ギター中心の曲も作っていたんだけど、シンセの作品を作るチャンスが舞い込んで、実験しながら楽しめるチャンスだと思ったんだ。それがアルバムにまで発展出来たから嬉しいね。別にギターで曲を作ることに飽きたわけじゃなくて、実験がしたかった。僕は同時に色々なことに興味があるし、それぞれを学んで新しい経験がしたいんだ。今までの人生でスケートボード、カメラ、音楽などで常にそういう姿勢でやってきたんだ。

●あなたはギター・プレイヤーとして知られていますが、このアルバムを作ることで今までのファンを遠ざけてしまうということは心配しましたか?
R :  いや、それは全くないよ。僕はとにかく自分を表現しないといけないわけで、そのプロセスの中で自分の表現がどう受け入れられるかは意識していないんだ。このアルバムを聴いて、僕が頭がおかしくなったと思う人もいるかもしれないけど、それは別に構わない(笑)。楽しむことが一番大事なんだよ。人を驚かせること、それに自分を驚かせることって大切だと思うんだ。だから、リスナーの反応は特に意識しなかった。どのレーベルがリリースしてくれなくても僕はこの作品を作りたかったんだ。だから、トーマスやRUSH! X AWDR/LR2がリリースしてくれてとても感謝しているよ。もちろんファンはこのアルバムを喜んでくれると思うけど、ファンを喜ばすことが第一の目的ではない。自分の音楽を人とシェアしたい気持ちはあるけど作品は作品として独立しているものなんだ。

●アルバムのコンセプトは?
R :  音の探求だね。あと、音符やメロディのことを気にせずにサウンドや音色だけで曲を作ることが楽しかった。あえてモノシンセを使ったんだけどコードを演奏するんじゃなくて、音符を一つずつ重ねて曲を構築していくことが新鮮だった。知らない世界に踏み込んで慣れてないことに挑戦したかったんだ。テクニックよりも新しいことに挑戦する喜び、好奇心、興奮の方が強かったんだよ。自分が何をやっているのかわからない時期が一番エキサイティングだし、その時に作る音楽はすごく興味深いんだ。その気持ちは一度しか訪れないからね。既にシンセの知識とテクニックを身につけ始めてるから、今、同じ作品を作ろうとしても出来ないんだよ。どっちがいいかわからないけど確実に感覚は違うんだよ。そういう意味でシンセを学んでいる過程をこの作品の中で記録するっていうことは一つのコンセプトだったね。完全な初心者だった自分がシンセについて学んでいる時期を作品として残したかったんだ。自分がやっていることが正しいかわからないまま挑戦しているから、そこから面白い音が生まれるんだよ。

●アルバム・タイトル『Tiara for Computer』の意味は?
R :  EMSという50年代、60年代の初期に開発されたシンセサイザーのパイオニアの会社があるんだけど、彼らは軍隊が残したテクノロジーを使ってシンセを開発した。EMSは音をトリガーさせるための道具が必要だったから、シーケンサーを開発したんだ。そのためにはコンピューターが必要だったのだけど、当時のコンピューターは家一軒と同じくらい高価で大きさも一部屋くらいだったんだ。創始者の奥さんが高価なティアラを持っていて、そのティアラを売って、コンピューターを買ったらしいんだ。それは初めて一般人の家の中で使用されたプライベートなコンピューターだった。シンセを作るために奥さんのティアラを売るというストーリーがすごく印象的でこのタイトルにしたんだ。

●このアルバムはIndependent Trucksから共同でリリースされると聞きました。
R :  Independent Trucksは数年前から、プロ・スケーターのためにシグネイチャー・トラックを限定で作って販売してるんだ。シグネイチャー・トラックを出す時は他の商品を含むコレクションをリリースするんだけど、グラフィックは外部のアーティストに頼んで、スウェット、キャップとかもリリースするんだ。トラックと一緒に何をパッケージするか?の話になった時に7インチを入れようという話になったんだけど、それが発展してアルバムになった。アルバム自体はトーマス・キャンベルのUm Yeah Artsからリリースされるけど、シグネイチャー・トラックのパッケージに限定でレコードも入るんだ。

●何年前からIndependent Trucksにスポンサーされてますか?
R :  クリスマスに親に買ってもらった初めてのスケートボードにIndependent Trucksのトラックがついてたから1984年から使ってるんだけど、スポンサーされたのは1989年だったね。コンテストに出るようになってから、まずVentureトラックにスポンサーされたんだけど、その後にIndependent Trucksにスポンサーされたんだ。

●初めてエレクトロニック・ミュージックのアルバムを作る上で、インスパイアされたアーティストやアルバムはありますか?
R :  この作品を作り始めた時に「シンセを演奏する時の自分の個性とは?」、「シンセの何に自分は魅力を感じてるのか?」って考えてたんだ。エレクトロニック・ミュージック、シンセサイザー・ミュージックは多種多様だからね。僕は古いシンセのサウンドが好きなんだ。クラフトワークや初期のデペッシュ・モード、初期のヒューマン・リーグ、ヤズーも好きだし、70年代のジャズ・ミュージシャンがシンセをドラム、ベース、ギターと組み合わせていたサウンドも好きなんだ。チック・コリア、ハービー・ハンコック、ジョージ・デュークはシンセを使ってクレイジーなことをやっていた。あの時代のシンセには特殊なサウンドがあるんだ。それらのサウンドは好きだけど真似しようとは思わなかった。僕はシーケンサーを使ったタイトでロボットっぽいサウンドにしたかったんじゃなくて、呼吸している生身の人間のようなサウンドにしたかった。古いアナログ・シンセは不安定なところがあるんだけど、個性的なサウンドがあるから、それが人間っぽいんだ。ちょっと音がズレていたりするんだけど、それが魅力なんだ。

●曲作りとレコーディングのプロセスは?スタジオでのジャム・セッションから曲を作ったのか?自宅で曲を作ったのでしょうか?
R :  Reasonというソフトを使って、曲の土台を作ったんだ。僕はMIDIは使ってないから、ReasonをPro Toolsのようにレコーダーとして使って簡単なループを作った。まずはシンセでパッチを作って、その後はベースラインを演奏したり、ドラム・ループを入れたりして、中で音を重ねていったんだ。後で生ドラムと取り替えたんだ。

●家でデモを作ってから、スタジオでレコーディングし直したのでしょうか?
R :  いや、僕が作ったベーシック・トラックをそのまま使って、その上にさらにスタジオで演奏を重ねていった。

●なるほど。モンティのスタジオではシンセはレコーディングしなかったということですね?
R :  ほとんどレコーディングしてないね。モンティのスタジオに入った時は、僕のシンセのパーツはほとんど完成していた。スタジオでは、ジョンのドラムを主にレコーディングした。シンセを少し演奏することはあったけど、あまりやらなかったね。

●スタジオでレイとジョンが一緒に演奏しているようなダイナミックなサウンドに聴こえました。
R :  それは嬉しいね。家でトラックを作った時に、後でジョンがドラムを叩くことはわかってたから、わざと複雑なドラム・ループを入れておいたんだ。ジョンが自由に演奏出来るようにしたかったんだ。ジョンと実際にジャム・セッションをしているかのようなサウンドに仕上げたかったんだ。ジョンがドラムを叩いてから、家で作ったドラム・ループは基本的に削除した。何曲かは残してるけどね。

●ジョンが叩いたドラムを使って、新たな曲を作りましたか?
R :  2曲でやったね。モンティから、ジョンのドラムのループを送ってもらって、そこから曲を作ったんだ。「Ocra Vs. Jaba」と「Holding Company」はそうやって作った。

●このアルバムで全くギターを演奏してないのでしょうか?
R :  「What’s His Neck」ではエレキ・ギター、「Holding Company」ではアコースティック・ギターを演奏しているよ。

●他に参加したミュージシャンは?
R :  (トミー・ゲレロ・バンドのメンバーでもある)ジョッシュ・リッピが何曲かでスタンドアップ・ベースを演奏してくれて、「What’s His Neck」や数曲でエレキ・ベースを演奏してくれた。曲がもっとダイナミックになった。ジョンのドラムを録てってから、ジョッシュに来てもらった。モンティが1曲でちょっとだけベースを演奏してくれた。ゲストはそれだけだよ。

●トーマスはどういう形でアルバムに参加してくれましたか?
R :  彼は本当の意味のプロデューサーで作品のヴィジョンをクリアにして、良いアイデアを提供してくれた。サンフランシスコでレコーディングしている間はずっと居たよ。

●具体的にどのようなアイデアを提供してくれましたか?
R :  よく話し合ったのは、僕らが無理やり作品の方向性を決めるより、自然な形で作品にするというとだった。ジョンに僕が作った素材をリミックスさせるというアイデアも彼が提案してくれた。あと、インスピレーションになる曲を聴かせてくれて、それに合わせてジョンがドラムのリズム・パターンを考えたり、僕も曲作りをした。そういう意味でトーマスは重要な役割を果たしたよ。

●なぜ今回ジョン・ハーンドンにドラムで参加させようと思ったのでしょうか?
R :  フェイバリット・ドラマーの一人だし、昔からトータスのファンだったんだ。彼と仲良くなって、LAに引っ越してくれて、音楽を一緒に演奏出来るようになったからすごく嬉しいよ。既成概念なく、自由に彼と演奏してみたかったんだ。だから、シンセを使った作品に参加させるのはぴったりだったよ。「世界中のどのドラマーにこのアルバムに参加してもらいたいですか?」と聞かれたら、僕は間違いなく「ジョン・ハーンドン」と答えていたから、彼が実際に参加してくれてすごく嬉しかったね。ジョンこそ、僕のアイデアを最大限に活かせられるドラマーだったんだ。だからすごく感謝してるよ。

●ベースはなぜジョッシュに頼もうと思ったんですか?
R :  ジョッシュに1曲でスタンドアップ・ベースを演奏してもらうために呼んだんだけど、トーマスが「ジョッシュがせっかくいるから他の曲でも演奏してもらおうよ」と提案したんだ。他の曲でも試しに演奏してもらって、彼の演奏を使った曲もあれば、使わなかった曲もある。最初はスタンドアップ・ベースを演奏してくれたんだけど、その後はエレキ・ベースも演奏してくれた。素晴らしい演奏してくれたよ。こんなに才能あるミュージシャンのコミュニティの中にいることが出来てすごく嬉しいね。


●アルバムの収録曲について解説してください。

01. Pink Noise
R :  ほとんどの曲は、僕が家で一人で骨格を作るところからスタートした。シンセが好きなのは、どこかコントロール出来ないワイルドなところがあるところなんだ。モジュレーション、音色、テクスチャーがどんどん変化して、知らない世界が広がるんだ。多くの曲は、そのエネルギーを利用してるんだ。とにかくワイルドなんだ。それ以外の言葉で言い表せないよ。パーカッション、シンセもワイルドにしたかった。グルーヴ感とメロディを大切にしながら、冒険的なアプローチを両立させたかったんだよ。そういう想いから誕生した曲なのさ。

02. Future Blues
R :  この曲は、ジョンが「What’s His Neck」の素材を使って、新たな曲に作り直してるんだ。ジョンに僕のファイルを渡して、これを生み出したんだよ(笑)。彼はAbleton Liveでトラック作りをやってるんだ。「What’s His Neck」の最後の方で叩いたドラムのフレーズがあるんだけど、それをこの曲で主に使ってるんだ。原曲がほとんど分からないようなサウンドになってるんだ。

03. What’s His Neck
R :  この曲と「Neon Native」は、サンフランシスコのスタジオで作り上げた数少ない曲なんだ。この曲はベースラインから始まったんだ。デモは家で作ってあったんだけど、スタジオに入ったら、全く別の曲になったんだ。僕がエレキ・ベースを演奏して、ジョンがドラムを叩いて、その後に僕のギターを重ねたんだ。ジョッシュが来た時に、今まで作ったもののに上にベースを演奏してもらって、僕のベースは削除したんだ。

04. Ocra Vs. Jaba
R :  トーマスのアイデアだったんだけど、ドクター・ジョンの「Big Chief」という曲に合わせて、ジョンにドラムを叩かせてみたんだ。だから、クレオール(アフリカ系とヨーロッパ系のミックス)っぽい雰囲気の曲に仕上がったんだ。EPをレコーディングするつもりでスタジオに入って、そこからアルバムに発展したから、もっと曲数をレコーディングしないといけなかったんだ。セッションの最後の方で、トーマスがジョンにいろいろなドラム・パターンを叩いてもらって、それを使って僕がさらに曲作りをすることになったんだ。ジョンが素晴らしいドラム・ビートを叩いてくれて、そこにさらにシェーカーやタンバリンを重ねた。ドクター・ジョンはニューオーリンズのミュージシャンだし、僕の母親は実際にクレオールなんだ。「ニューオーリンズのバーボン・ストリートでもしスペース・ジャム・セッションが起きたらどんなサウンドになるだろう?」って想像しながら曲を作った。リズムはクレオール風なんだけど、シンセやエレクトロニクスを使っていて、街角でジャム・セッションをやりながら、宇宙に飛んでいくような感覚なんだ(笑)。タイトルの「オクラ」っていうのは、ニューオーリンズのクレオール料理でよく使われる食材で、僕も子供の頃からよく食べてた。「ジャバ」っていうのは、ジャバザハットのことだよ(笑)。

05. Tina Cut
R :  この曲の浮遊感のあるメロディは、トーキング・ヘッズっぽいと思って作ったんだ。トーキング・ヘッズのベーシストがティナ・ウェイマスという名前なんだけど、彼女だったらどういうベースラインを演奏するだろう?っていうのを想像していくうちに、このタイトルになったんだ。もともとベースはシンセで演奏してあったんだけど、それをジョッシュにティナっぽいスタイルで演奏してもらったんだ。

06. Ornithology
R :  この曲はジョンが「Tina Cut」をリミックスして出来た曲なんだ。ベースラインを聴くとわかるんだけど、原曲だとわからない仕上がりになってるよ。

07. Holding Company
R :  この曲ではトーマスが、ドノヴァンの『Hurdy Gurdy Man』に収録されてる「Get Thy Bearings」っぽいドラム・ビートをジョンに叩かせようというアイデアから始まったんだ。原曲はジョン・ボーナムがドラムを叩いていて、よくヒップホップのプロデューサーがサンプリングしてることで知られてる。僕が作った曲の中間にはPファンクっぽい要素が入っていて、ホイッスルっぽい音を使ってるんだ。サイケデリック・ヒップホップっぽいサウンドを意識してこの曲を作ったんだよ。

08. Tiara for Computer
R :  とにかくファンキーな曲が作りたくて生まれた曲なんだ。シュギー・オーティスが『Inspiration Information』を作った時代にもしこのシンセを持っていたら、どんなサウンドを作るだろう?って想像しながら作った曲でソウルのドラム・ループやアフリカのパーカッションのリズムをループさせて、トラックを作ったんだ。ソウルのドラムは、80BPMから120BPMの間のものが多いんだけど、140BPMに変えると、面白いサウンドになるんだ。そのループの上にジョンにドラムを叩いてもらったんだ。

09. Manglenese
R :  これもジョンが僕の素材をリミックスして作った曲で原曲はアルバムに収録されてないんだけど、ジョンがこの曲の素材を使いたいと言ったからこの曲が出来た。

10. Neon Native
R :  この曲では、トーマスがヴァン・ヘイレンのトリッピーなシンセ・ソングを聴かせてくれて、それがインスピレーションになったんだ。でも、最終的に出来上がった曲は全く違うサウンドだったんだ(笑)。ジョンとジャム・セッションをしていくうちに出来上がった。その後にジョッシュがスタンドアップ・ベースを入れたんだけど大変だったと思う。構成を決めて作った曲じゃなくて、インプロヴィゼーションから生まれた曲だったからね。瞑想的なサウンドの曲なんだ。
トーキング・ヘッズの『Remain In Light』は大好きなアルバムなんだけど、最初はエネルギッシュなところから始まって、最後がすごくスローでダウナーなサウンドで終わるんだ。このアルバムもそういう感じにしたかったんだ。このアルバムはサウンド・ジャーニーのような作品にしたかった。リスナーに「次はどうなるんだろう?」っていう気持ちにさせたかったんだ。

11. Push Process
R :  この曲はこのアルバムの中で一番最初に作った曲なんだけど、まだアルバムを作ってるという意識はなかったんだ。新しいアナログシンセを買ったから、とにかく実験して楽しんでたんだ。その実験をレコーディングしていくうちに出来上がった作品なんだ。この曲が、アルバムの方向性を決定付けたんだよ。この曲にはいろいろなクレイジーなドラム・ループが入ってたんだ。でもアルバムを作ることになった時に、他の曲とあまりフィットしなくなったんだ。たくさん曲を作っていく中で、アルバムでは使えない曲も出てきて、この曲もアルバムに入れられないと思ったんだ。モンティが曲の中間に新しい要素を入れるのを提案してくれて、それが面白かったから、ボーナス・トラックとして使おうと思ったんだ。ニルヴァーナやいろいろなバンドのアルバムでは、最後の曲の後に、しばらくしてから違う曲が入ってたりしたんだけど、そういう感じのことをやってみたかったんだ。この曲は、このアルバムの出発点でもあるから、やっぱり入れようと思った。

●このアルバムはライヴでどうやって再現するんですか?
R :  シンセをライヴで使うけど、トリオとしてライヴをやりたいと思ってるんだ。ジョンとジョッシュとツアーする予定なんだ。ジョッシュはベースとキーボード、僕はギターとキーボードを演奏する予定で、ジョンにはドラムとトリガーを使ってもらうと思っているけど、まだ考える段階だよ。正直言って、アルバムを完全にライヴで再現しようと思ってないんだ。アルバムを土台にして、アルバムのスピリットを注入したライヴをやりたい。このアルバムのテーマは「音の冒険」だからね。そういう意味で、ライヴでも冒険的要素を大切にしたいと思っている。それを3人でライヴで探求してみたいんだよ。自分の他のアルバムの曲もそういう冒険的でアプローチでライヴで演奏しようと思ってるんだ。

●最近はカメラマンとしてはどういう活動をしていますか?
R :  とてもエキサイティングなプロジェクトがいくつか予定されている。一つはフィルム会社のイルフォードとのプロジェクトで、もう一つはライカ社とのプロジェクトなんだ。イルフォードは「Ilford Inspired」という企画をやっていて、3~4分のドキュメンタリー映像を作ることになってるんだ。イギリスに本社があるんだけど、僕の写真の撮り方や現像のプロセス、あとスケートの映像を撮りに来ることになってるんだ。

●あなたにとってスケートボード、写真、音楽、シンセの共通点とは?
R :  どれも同一線上で僕にとっての表現手段なんだ。それぞれの表現手段が影響し合ってるし、繋がってるんだよ。源は同じなんだ。スケートボードが脳みたいなもなんだ。スケートボードから、リスクをとったり、興味があることに向かっていくことや挑戦を恐れないことを学んだ。スケートボードが他の表現方法に影響を与えているんだ。スケートボードから学んだことを他の表現方法に応用してるんだよ。

●このアルバムのメッセージはありますか?
R :  あまり意識してないけど、あえて言うなら、新しいことに挑戦することかな。それに何かに対して好奇心があったら、それを探求することを恐れないでってことかな。僕はシンセに好奇心があったから、それに真っ向から飛び込んで行ったら、この作品が出来たんだ。

●ライヴ観に来る人にメッセージはありますか?
R :  ファンのみんなと一緒に楽しみたいよ。リスナーがオープンマインドであれば、間違いなく楽しめるよ。


Interview : Hashim Bharoocha


Ray Barbee『Tiara for Computer』
Ray Barbee『Tiara for Computer』
[収録曲]
01. Pink Noise
02. Future Blues
03. What’s His Neck
04. Ocra Vs. Jaba
05. Tina Cut
06. Ornithology
07. Holding Company
08. Tiara for Computer
09. Manglenese
10. Neon Native
11. Push Process [Bonus Track]
2018.02.21 Release
CD / DDCB-12541 / ¥2,315+税
Released by RUSH! X AWDR/LR2
Ray Barbee『What’s His Neck | Ocra Vs. Jaba [7INCH]』
Ray Barbee『What’s His Neck | Ocra Vs. Jaba [7INCH]』
[収録曲]
A. What’s His Neck
B. Ocra Vs. Jaba

[SHOP LIST] https://spaceshowermusic.com/news/85834/
2018.02.18 Release
7INCH / DDKB-91015 / ¥1,667+税
Released by RUSH! X AWDR/LR2

Ray Barbee / レイバービー

Ray Barbee

カリフォルニア、サンホセ出身。
ミュージシャンでありフォトグラファー、スケート・カンパニー「Powell Peralta」でも活躍し、『Public Domain』『Ban This』といった伝説的なスケート・ビデオにも出演しているストリートで大きな影響力持つ現役プロスケーター。
ミュージシャンとして、03年にデビュー作『Triumphant Procession』、05年に現在までの唯一のアルバム『In Full View』、07年にはThe Mattson 2と連名で『Ray Barbee Meets The Mattson 2』をThomas Campbellが主催した音楽レーベル「Galaxia」より発表。ウェストコースト産チルアウト・ストリートジャズとも呼べそうな独自の音楽性で全作品がロングセラーとなており、1万枚を超えるセールスをあげ、ジャパン・ツアーも定期的に行っている。18年2月、13年ぶりにセカンド・アルバム『Tiara for Computer』の発売が決定している。

https://www.instagram.com/r.ba……bee/?hl=ja
http://www.thomascampbell-art.com
http://umyeaharts.com
http://www.awdrlr2.com
http://www.rushproductionmusic.com

関連アーティスト

Ray Barbee

関連リリース