バックナンバー

2016.04.01 UP
台湾POPシーンを牽引するバンド”宇宙人 (Cosmos People)”、スペシャルインタビュー!

取材・文 / 西廣智一

――皆さんはどのようにして知り合って、宇宙人(Cosmos People)を結成したんですか?
小玉 (シャオユー:Vo,Key): 私は小さい頃からクラシックピアノを習っていたんですが、同時期にロックやファンクも聴きはじめました。そして高校生の時に阿奎(アークェ:G)と出会って、一緒にバンドを始めたんです。で、高校の時にはロック部に入っていたんですが、方Q(ファンキュー:B)はそのロック部の先輩で。彼には途中からバンドに加わってもらい、現在に至ります。

――いま小玉さんからロックやファンクというジャンルが挙がりましたが、皆さんはどういったアーティストから影響を受けているんですか?
小玉: 私はアース・ウィンド&ファイヤーやファレル・ウィリアムスといったファンク、ソウル、R&Bのアーティストから影響を受けてます。
阿奎: 私はマイケル・ジャクソン、プリンス、ナイル・ロジャース、そしてナイルも在籍するシックですね。
方Q: 私はレッド・ホット・チリ・ペッパーズかな。日本のアーティストからも影響を受けていて、東京事変やL’Arc~en~Cielが大好きです。ベーシストとしては、マーカス・ミラーなどから強く影響を受けています。

――皆さんが挙げたアーティストから察するに、3人ともソウルやファンクを敬愛していることが伝わってきます。では宇宙人を結成した頃は、どういう音楽性を目指していましたか?
小玉: 結成当時によくファンクやソウルミュージックを聴いていたので、まずはそういう方向性を目指しました。でもそれ以外にもいろんな音楽から常に影響を受けているので、活動を続けるうちに宇宙人としては前回作った音楽とは違った音楽を作りたいと思うようになって。そこから毎回新しい音楽を作り、どんどん宇宙人色を打ち出していくようになったんだと思っています。

――宇宙人の楽曲はメロディがポップで親しみやすい点が一貫していますが、そこには対しては強いこだわりがあるんですか?
小玉: はい。ポップでわかりやすいメロディで、聴き手が入っていきやすい曲というのは常に心掛けています。
方Q: 曲作りに関しては、常にバランスを気にしています。それはみんなが聴きやすいように、歌詞からのアプローチだったりサウンドからのアプローチだったり、いろんな方向からバランスを取っているつもりです。
小玉: ビートルズやマイケル・ジャクソンといったレジェンドたちは、そのバランス感覚がとても優れているアーティストですよね。彼らの楽曲は今でも全世界の人たちに愛される、心を動かすようなメロディや歌詞を兼ね備えているので、私たちもそういう存在になれたらと思っています。

――最新アルバム『10000 HOURS』を聴いて感じたんですが、宇宙人は固定のジャンルでは括れない音楽をやっていますよね。それこそビートルズやマイケルにも通ずる親しみやすさがあって、ポップミュージックとしては世界共通の魅力が備わっているなと思いました。
阿奎: ありがとうございます。

――ちなみに宇宙人は台湾ではどういった層から支持されているんですか?
小玉: 中心になっているのは大学生からちょっと上くらいの世代かな。ロックにありがちなうるさい要素をあまり入れていないというのも、そういった層から支持される要因かもしれないですね。

――日本では2014年に「SUMMER SONIC」で初ライブを行いました。その初来日時によく覚えていることは?
方Q: 最初は驚きの連続でした。日本に来るのが初めてだったので、私たちのことを知っている人はあまりいないんだろうなと思ってステージに立とうとしていたら、ライブが始まる前から私たちのことを観ようとお客さんが集まっているのが見えて。まずそこに驚かされました。

――そして2015年に単独公演を行い、今年も再来日が実現しました。定期的に日本を訪れることで、何か新たな発見はありましたか?
阿奎: 「SUMMER SONIC」に出演した時に、日本のアーティストだけでなく世界的なアーティストの皆さんもたくさん観ることができて、世界というのはこれだけ広いもので、これだけたくさんすごいアーティストがいるんだってことに気付けたことは、自分たちにとって大きな勉強になりました。

――さらに今年2月には、日本では2枚目のアルバムになる『10000 HOURS』がリリースされました。本作は台湾では昨年発表されましたが、どういった内容にしようと考えていましたか?
小玉: これは個人的に考えていたことですが、最初はこのアルバムに「成長」という言葉が合うかなと思っていたんです。でも完成したアルバムを聴いて強く感じたのは、今作は「成長の過程」を見てもらうような作品じゃないかなと。「1万時間(10000 HOURS)」というタイトルは単なる時間の経過ではなくて、日々のいろんなことの積み重ねを意味しているんです。その積み重ねの過程も含めて、アルバムで表現できたんじゃないかと思っています。

――これは個人的な印象ですが、僕はその「成長の過程」というキーワードとは相反して、このアルバムはすごく洗練されていて、完成度の高い楽曲が揃っているなと思いました。
小玉: 本当ですか? 私からしてみれば、いま聴き返すと「ここをもっとこうすれば良かった」と感じる部分も多いんですが、そう言っていただけるとすごく嬉しいですね。

――アルバムでは、まずオープニングナンバー「Move Forward」でいきなり驚かされました。これまでの宇宙人にはないスタジアムロック的な楽曲で、コールドプレイあたりにも通ずる大きなノリと、メロディやサウンドのキラキラ感の強さがとても印象的だったんです。
小玉: それは私たちの狙い通りですね(笑)。
阿奎: 私たちもこのアルバムで斬新かつ新しい一面を見せたいと思っていたので、何度も話し合ったうえで「Move Forward」を1曲目にしたんです。

――そうだったんですね。この1曲で掴みはバッチリだと思います。かつ全体的には、さっき影響を受けたアーティストとして名前の挙がったファレル・ウィリアムズのように、普遍的なソウル~ポップミュージックの魅力を現代に継承したサウンドですよね。さらに「10000 Hours」あたりに感じられるエレクトロニックな要素も加わったことで、ちょっとアダルトな雰囲気が強まっていて、日本におけるシティポップを思わせる心地良さが全体を通して感じられました。
方Q: なるほど。まあ私たちは台湾でいちばん大きい街、台北に住んでいますから。そういう意味では「シティポップ」ですよね(笑)。
小玉: エレクトロニックミュージックには以前から興味があったのですが、私自身アーティストとしてまだ成熟しきれていないところがあって、自分たちの音楽にその要素を融合させる方法がわからなかったんです。でも最近になってやっと採り入れられるだけの実力が伴ったのかなと。このアルバムのなかでは「10000 Hours」と「Island」の2曲で挑戦していますが、自分たちなりの色をしっかり出せたかなと思っています。

――まさにそこで「成長の過程」を見せていると?
小玉: その通りです。でもエレクトロニックな要素を入れたくてそういう曲を作ったわけじゃなくて、できた曲がたまたまエレクトロニックな方向性に合っていただけで。そもそも、そういうことをしたくて曲を作るのは本末転倒じゃないですか。だから曲とエレクトロニックなアレンジがうまく合致したという点では、いままでよりもワンステップ上に行けたのかなと思います。

――また宇宙人の歌詞はラブソングをベースにしつつも人生の教訓を歌っていて、聴き手の背中を押すような内容が多いと感じました。宇宙人の楽曲を作詞をするうえで、どういう点にこだわっていますか?
小玉: 台湾人にはラブソングを好む傾向があることで、台湾のアーティストはアルバムにラブソングを最低1~2曲は入れなければならないような風潮があるんです。私たちからしてみればラブソングを作ることはすごく大事なことではあるけど、だからといって普通のラブソングは作りたくない。私たちより上の世代、例えばメイデイ(五月天)あたりとはまた違った味を出したくて、自分たちと同年代の若者たちの心に訴えかけるようなラブソングであると同時に、宇宙人ならではのアプローチというのを常に考えて書いています。

――そして、初の日本語詞ミニアルバム『TIME LAPSE』もアルバムと同時リリース。アルバム『10000 HOURS』から5曲を日本語詞で再レコーディングしていますが、どういう基準でこの5曲を選んだんですか?
小玉: 日本のレーベルと、どの曲が日本語に合うかを話し合って決定しました。改めて完成した作品を聴くと、例えば「もっと遠くへ ~Move Forward~」は日本語バージョンのほうが断然いいなと思っていて。このメロディに日本語詞を乗せたことで、自分たちの考えがより明確に表現できた気がします。それに「恋に似ている ~Alone Together~」のメロディは日本でウケるんじゃないかと感じていたので、ぜひ日本語で歌ってみたいと思っていたんです。

――もともと中国語で歌われていた楽曲なのに、後から日本語を乗せてみたらそっちのほうが合っていたというのは興味深い話ですね。
小玉: 本当ですよね。実はFacebookで「もっと遠くへ ~Move Forward~」を公開したら、台湾のファンから「これを聴いて日本語を勉強したくなりました」という声が多かったんですよ。

――それは僕たち日本人としては、とても嬉しい言葉ですね。日本語で歌うことは中国語と歌うのと比べて大変だったと思いますが、実際にやってみていかがでしたか?
小玉: 私がいちばん心掛けたことは、日本語をきちんと発音するということ。日本語詞を1曲分丸ごと覚えて録音するのはまだ難しいので、途中まで録音して、ここはおかしいなというところを直していきました。そこから壁にぶつかった時は日本人アーティストの曲を聴いたり、ミュージックビデオを観たりして、発音や口の動きを研究したんです。特にMr.Childrenの桜井(和寿)さんが高いキーで歌っている時の発声や口の使い方は、とても勉強になりました。例えば中国語だと高いキーで歌うときは口を開くことが多いんですけど、桜井さんは口を若干閉じて、下に向けて歌うんです。そういう研究を重ねて、自分なりのスタイルを身につけていきました。例えば「く」という言葉はローマ字読みだと私たちは「ku」とはっきり発音したくなるけれど、日本の皆さんは口を小さくすぼめて発音している。ローマ字読みだけで歌おうとすると、日本語ネイティブとは違った発音をしてしまうことになるんです。その違いですよね。

――それは興味深い話ですね。よく外国人アーティストが日本語の曲をカバーすると、確かにローマ字をそのまま読んだような歌い方が多いですし。でも宇宙人が日本語で歌うと自然な感じで気持ち良く聴けるんです。
3人: (嬉しそうに拍手)
小玉: そう感じてもらえたなら、本当に最高です。良かった(笑)。

――先ほども言いましたが、宇宙人の楽曲はサウンドにもメロディにも、欧米のポップミュージックからの影響が強く感じられます。でも『TIME LASPE』を聴くと、中国語の楽曲が日本語で歌われることでJ-POP的な親しみやすさが増しているように感じられる、そういった不思議な魅力があるんですよ。
方Q: 私も日本語バージョンを聴いた時は、J-POPっぽくなったなと感じました。
阿奎: 小玉は日本語でレコーデイングする時、よりJ−POPっぽさを強めるような発音の仕方やメロディの乗せ方にすごくこだわっていて、「この曲ではこう歌ったほうがいいんじゃないか?」と研究し尽くしたからだと思います。

――阿奎さんと方Qさんは日本語で歌う小玉さんを見て、不思議な感じはしませんでしたか?
方Q: 正直、日本語で歌っているのを聴いて「これ、日本語はちゃんと合っているのかな?」と思うこともあるんですけど(笑)、実際には中国語で歌っている時と感じ方はあまり変わりなくて。日本語詞を聞いても瞬時には理解できないんですけど、最終的には小玉は小玉だなと思いながら聴いています。
阿奎: 私の場合はコーラスも担当しているので、日本語バージョンでは小玉の口元を見たり声を聴いたりして発音や韻の踏み方を勉強しています。不思議というよりは大変ですね(笑)。

――また、本作には唯一の日本語オリジナル曲「彼女はBOSS ~She’s The Boss~」も収録されています。これは日本語で歌うことを前提に作られた楽曲なんですか?
小玉: はい。この曲はデモテープを作る時点で、自分が知っている日本語を適当に当てて歌っていたんです(笑)。興味深いのは、作詞家の先生がそのデモテープの仮歌を聴いて、私が適当に歌っていた日本語のなかから言葉をピックアップして歌詞に使ってくれたことです。出だしの「いつでも」は、まさに仮歌に入っていた言葉で、日本のドラマでよく耳にしていたから思いつきでパッと入れただけなんですよね(笑)。「あなた」という言葉もそうですし。しかも完成した歌詞を実際に歌ってみると、いろいろ韻を踏んでいて歌いやすかったんです。

――ちなみに日本語詞を歌ううえでの気持ち良さって、どういうところにあると思いますか?
小玉: ちょうど日本のライブに向けてたくさん練習をしていたんですけど、たぶんレコーディングの時よりいまのほうが自己流で歌っていて。レコーディングでは正しい日本語で歌おうとしてるんですけど、ライブではそれを崩して自分らしい歌い方にしていくことによって、だんだん自然に歌えるようになっている気がします。そういう意味では、どんどん気持ち良くなっていますね。ただ、難しい言葉というのは忘れてしまいがちなので、そこだけは大変ですけど(笑)。

――これを機に日本語で歌った新曲もどんどん発表してほしいと思っています。最後に、宇宙人としての今後の展望を聞かせてください。
小玉: 今回発表した2つの作品は日本での反響も良いと聞いていますし、今後も日本で新しい作品をどんどんリリースしたいです。それと同時に、ライブもたくさん行いたいですね。
阿奎: 私たちは台湾で、小さなライブハウスからどんどん大きくなっていきました。なので、日本でもまずはライブハウスでたくさんライブを行っていって、いつか大きなステージで演奏できるようになりたいです。
方Q: それに日本のいろんなロックフェスにも出演してみたいですし、日本のアーティストの皆さんとも交流を深めたいと思っています。


宇宙人 (Cosmos People)

・小玉 Xiao-Yu (シャオユー / 作詞作曲・Vocal & Keyboard)
・阿奎 A-Kuei (アークエ / Guitar)
・方Q Fun Q (ファンキュー / Bass)

2009年に台湾でデビューした3人組バンド。抜群の楽曲センスを武器にした、ソウルフルかつクールでメロディアスなサウンドは、彼らの甘いルックスもあいまって、アジア各国で多くのファンに支持される。本国では年間100本以上のライブ活動をこなし、CM/広告にも多数抜擢。日本では、2014年夏にタイワンダフル、SUMMER SONICに出演、8月には日本デビューオリジナル・ベストアルバム『コスモロジー』(P-VINE RECORDS)を発売。2015年春には大阪・東京で初ワンマンライブを開催、音楽性の高いパフォーマンス力で両公演ともに大成功を収める。2016年7月には台北で初の大型ワンマンライブが早くも決定している。日本での本格的な活動が始動し、さらなる飛躍・将来性に注目が集まっている。

◆ 日本オフィシャル Facebook ⇒ https://www.facebook.com/cosmo……ople.japan

関連アーティスト

宇宙人 (Cosmos People)

関連リリース