- 発売日
- 2015.11.04
- レーベル
- PIZZA OF DEATH RECORDS
- 規格
- CD
キタコレ! というのはこういうタイミングで使う言葉なのか。はぁ? ずっと前からキテるよ、と呆れ顔のパンクキッズも相当数いるだろうが、もっと広義で、日本のロックミュージック、ひいてはポップミュージックの世界という視点を入れても、いよいよ、WANIMAがキテいる。今のところは勝負作。いずれ出世作と呼ばれ、のちのちは代表作のひとつになるであろうアルバムが、この『Are You Coming?』だ。
ピザオブデスが、レーベルとして契約しただけでなく、マネジメントも手掛ける初のバンド。そんな触れ込みで2014年にデビューした彼らは、「鳴り物入り」という言葉に相応しいスピードでパンクシーンの台風の目となった。その熱量を現場で体感しノックアウトされた人もいれば、やたら元気だし憎めないから売れるよねと遠巻きに納得した方も、こういうお祭りバンドはいつの時代もいるものだとスルーした方もいるだろう。後者に届くだけの歌詞や発言を、まだ若い彼らが持っていないという現実はある。今もないのかもしれない。でも、まずは楽曲が先に来た。年齢やルーツというそれぞれの事情をすっ飛ばし、聴き始めれば一気に引き込まれ停止ボタンを押すことを許さない楽曲の勢い。それが今回はことさら強いのだ。
90’Sメロディックパンクの荒々しさ、00年代に発展した日本語ロックの日常的なメッセージ、さらにラップやレゲエが日常にあった世代特有の言葉遊びとリズム感。WANIMAがやっているのはそれ以上でも以下でもなく、特別新しいプラスアルファーがあるわけではない。しかしこの音の鮮烈さはどうだ。間違いなくメロディックパンクの系譜にあるのに、確実にアップデートされている。小利口な細工を加えたり、わかりやすく薄めたりという手法を取らないまま、ただナチュラルで貪欲な欲望だけが加速して、今までにない衝撃を与えてくれる。もはやパンクにもロックそのものにも体力がない時代、だからこそ小手先は通用しないと本能で理解しているのだろうか。
誤解を恐れずに言うなら、これは20年前にハイ・スタンダードが登場した時とまったく同じなのである。
バンドブーム終焉後の諦念から始まったハイスタは、だからこそ何でもアリで、持たざる者たちのヒーローになれた。20年を経た今、WANIMAが現れ、ピザオブデスがそこに光を見い出したのは必然だったと、このアルバムを聴いて初めて理解した。やたらキャッチーなお祭りバンドじゃないかという批判はハイスタにも寄せられた。それだけじゃない説得力を音楽で跳ね返すことができるのか。
それをWANIMAが今やらんとしている。感じるままの言葉をめちゃくちゃ自由に掻き集め、ポップソングとして永遠に残るメロディに乗せて、全力でぶっ放す。どちらのバンドも使命など背負っていない。ただ自分たちのワクワクだけを爆発させている。その眩しさに引き込まれないでいられるか?無理だ。
TRACK LIST
DISC1
- 01
- ここから
- 02
- 夏の面影
- 03
- いつもの流れ
- 04
- Japanese Pride
- 05
- SLOW
- 06
- TRACE
- 07
- 1CHANCE
- 08
- リベンジ
- 09
- いいから
- 10
- Hey yo...
- 11
- エル
- 12
- THANX
- 13
- また逢える日まで